どうせ夢なので


「・・・で、落ち着いたかい」

「はい、落ち着きました。本当に助けて頂きありがとうございます」

「まぁ、無事でなによりだよい」

とても大きな船。甲板に降ろされて、まだ生きてると気づかれたところ、急いで医務室のようなところに運ばれた。今はベッドに腰かけて、筋肉質の男性に質問をされていた。
命があって、本当に良かった…。
「で、あんたなんであんなとこで溺れてたんだ?このあたり島もないし、船から落ちたか?」

「あー・・・えーとなんていうか、わからないです。道を歩いてたら急に溺れてました・・・」

「・・・攫われたあげくに、必要ないから捨てられたってとこかよい?・・・辛かったな。すまん、もう聞かねぇから」

「あ!いえ違うんです!そういうんじゃなくて」

「よい、よい。親父には伝えておくから、しばらくこの船に乗るといいよい。次の島にでもつけば、電伝虫で連絡とれんだろ。」
盛大に勘違いされている。でも、たしかにこの状況で詳しい説明をしても怪しまれるだろうし、黙っておくことにした。怪しいやつだってまた海に放り出されても困るし。

「ありがとうございます・・・親父さんっていうのは責任者の方でしょうか?お世話になるので、私も挨拶に行きたいのですが」

「そうかよい、あんた礼儀正しいな。でも今日はいいよい。海水たくさん飲んでるみたいだから、一旦体を休めときな。」
そういわれると、途端に胃が重くなり、気持ち悪い気がする。

「う・・・はい。じゃあ休ませて頂きます・・・。ありがとうございます」

「サッチに飲み物もらってくるよい。なんか飲んであったまらねぇとな。***はホットミルクでいいかよい?」

「はい、飲めます。・・・あれ私名乗りましたっけ?」

「・・・すまん。もしかして敵の可能性もあったから、ポケットの中さぐったんだよい。そしたら、財布があったからみちまった。」

「そうでしたか。全然構いませんよ!私***って言います。お世話になります」

「俺はマルコだよい、よろしくな。本当すまん。白ひげ海賊団っていうこともあるし、敵も少なくはないんだよい。あ、でも***は敵ではないのはわかったから、大丈夫だよい」

白ひげ海賊団って・・・ここ海賊船?
いや海賊船ってことよりも、ここってもしかして・・・

「ワンピース・・・?」
「そうだよい。俺らは・・・っていうよりほとんどの海賊か。ワンピースを探してるよい」
探してるって、
白ひげって、海賊船って、もしかして私、本当に

トリップしてしまったのか。
いや、夢ですこれは多分。仕事しすぎて疲れて夢をみてるだけだ、うん。そうだねそうだ。よし。じゃあもう深く考えちゃダメなやつ。

「そういえば、私が敵じゃないっていうのは、どこでわかったんですか?」
「・・・怒らないでくれよい?まったく武器を持っていないっていうのと、筋肉がまったくついてねぇから、戦いをしらないやつだろうっていうクルーの判断だよい。まぁ能力者の可能性もあったけど、海の中で下手でも泳ごうとしていたから、能力者でもないみてぇだしなぁ」

「・・・」

デスクワークですからね。すみませんね。どうせちょっと走ったらすぐ息切れますよ!

「そういうことだから、ちょっと休むといいよい。心配すんな、なんとかしてやるからな。」

そういってマルコさんは立ち上がり頭に手を置き、ぽんぽんと優しくたたいてくれた。

「ちょっと厨房にいってくるよい」

「はい・・・。」

マルコさんが部屋から出ていく。
まったく知らないところで、一人。しかもおそらくマンガの世界。まぁ、過労からくる夢だろうけど

(ずいぶん、リアルな夢だなぁ)
ベッドに腰かけたまま、ふぅと一息つく。
休みたいのは山々なんだけどな・・・。
一息ついたら、海水を飲んだ気持ち悪さとは別の気持ち悪さが襲う。
(着替えたいな・・・)


どうせ夢だし、せっかくならやりたいことやらなきゃだよね?



(どうせ夢なので)
(マルコさん待てません)










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