【マルコ視点】この気持ちの名前は。


出会いは必然だとか、運命だとかいうがそんなことは俺は信じちゃいない。この世界では強い者がすべて。そう思って生きてきた。だから親父の元で、親父を海賊王にするために仲間といる。そんな、日常を送っていた。なんでも無い、天気がいい1日の朝。いつものように近くに敵船がないか不死鳥になって偵察していた。そんな時、水しぶきが上がる場所があった。最初はイルカか、もしくはなんかの魚が跳ねてると思ったが、どうも人間のようだった。俺は医者として助けないわけにはいかなかったから、足で掴んで船に下ろした。
「ゲホッ、ゲホッ!」
本当に溺れそうになっていたようで必死に息をする少女。小さいのでおそらく敵ではないだろう。
「マルコ!そいつなんだ?!どっから連れてきたんだ?ずぶ濡れじゃねーか」
「この子溺れてたんだよい!医務室運ぶよい!」
医者として、放っておくわけにはいかない。健康になるまでは自分が面倒を見なければ。最初はそんな義務感からだった。

でも最初に顔を合わせて話した時に、不安そうに俯いて話す***をみたら、義務感ではなく心から助けたいと、そう思った。自分が守らなければ消えてしまいそうな***はいつもどこか強がっているようで、自分達と一線を引いている。俺もエースのように嘘偽りなく、自分を曝け出したらどれだけ楽だろうか。

「この服、いい香りです」
「ジャケット、マルコさんの香りでした」
「いつも優しくしてくれてありがとうございます。マルコさんいないと、私やっていけません!」

そんな言葉を聞くたびに、勘違いしてしまう自分がいる。***はきっと命の恩人だから、気を遣っているだけだろう、きっと俺がいなかったから他の奴に頼るだろう、そんな思いがあった。直接***にそう聞いても答えてくれないかとも思ったが

「マルコさんだけです」
そんな答えを聞いてしまったから、やはり勘違いではないのだろうか。
そして、おそらくサッチやほかのクルーも俺の反応には気付いているはず。でなければ、親父にあんなことを言うわけがない。
でも親父のおかげで***としばらく一緒にいれることになった。

「***は、普段の家ではなにしてたんだよい」
「うーんそうですね。本を読んだり、おうちでまったりする時は紅茶飲んだり…ですかね」
「そうかよい、俺も紅茶はよく飲むよい。…今度俺の部屋でいい紅茶いれてやるから、好きな本もってくるといいよい。」
「えー!本当ですか!マルコさんと趣味があって嬉しいです!!」
あぁ、なんでこうも***は俺が欲しい反応を返してくれるんだろうか。この感情はまずい、と自分でも思ってるのに。

「マルコー最近***避けてねぇか、最初は猫っかわいがりしてたくせによ。勢いあまって抱きしめるからそーなんだよ」
飯を作りながらサッチが言う。
「うるせえよい!あれは本当に***がすごい奴だとおもったから、だよい」
「嘘だね!他のクルーにはしなかったはずだぜ。恥ずかしがってねーで自分からいけよ、男だろ」
「恥ずかしいわけじゃねえよい。今は本当に忙しいんだよい…」
これは事実であったがあの抱きしめた後から、まともに***に会えなかったのだ。
次会うことがあったら、もう自分には遠慮しないでほしい。緊張ばかりしている***の安らぎになれればそれでいい。また、***に会いたい。



(この想いはいつ、君に届くだろうか)
「こんな想いはいつぶり、だよい…」





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