「男とか女とか」こぼれ話
2019/11/24


「自分で言うのもなんだけど、なんで俺? 俺でいいの?」
「……笑わないでくださいね」
「うん?」
「もし、もしもですよ」
「うん」
「もし子供を産んだとき、」
「子供!!!!」
「この人ならきっと、すごいって言ってくれると思って」
「うん……?」
「ありがとう、とか、よくやった、とか、そういう、私一人が頑張ったみたいな労いの言葉じゃなくて」

「『すごい!』『赤ちゃんだ!』『すごいよ菫子ちゃん!』なんて興奮しながら、手放しで褒めてくれるだろうなって……善逸くんなら」

目尻を赤く染めた彼女が伏し目がちに善逸を見上げる。まろやかな白い肌に日の光が透き通るようだった。

善逸の脳内に彼女の語った未来図が容易く描かれる。その前も、その先も、延長線に続いて紡がれていく。ああ、彼女もこんな感覚だったんだろう。自分はこの人と結ばれるんだという、確かな予感。




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