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早苗は自分が今何処にいるのか、一瞬分からなかった。
目の前にある蝋燭の小さな灯りが煌々としている。

「…起きたか」

突然掛けられた言葉に、早苗ははっと気がついた。そして、自分は眠ってしまっていたのだと理解した。

「あっすみません…眠ってしまったみたいです」
「…風邪をひかないように」
「…はい。…布、かけて下さったんですね」

鱗滝のささやかな気遣いに、早苗は感謝の言葉を口にした。

「明日も今日と同じようなことをするんですよね?そうしたら早めに寝ます」
「…いや、明日は別のことをする」
「…分かりました」
「…鉄明、お前はどこで鬼の存在を知った」
「…母が鬼に惨殺されたのを目の当たりにしました。
父方の曽祖父が刀鍛冶師だったご縁で、里におります」
「…そうか。辛いことを思い出させてしまったな…」
「いえ、そんなことは!
…今日のことで、刀剣の扱い方について知識が増えました。
いつかは自分の打った刀が認めてもらえるように、精進したいと改めて思います。

…曽祖父の代から武器商人の家に生まれましたが、今思うと自分はそういった星の元に生まれたのではないかと思います」
「…廃刀令が敷かれている昨今、大義名分の元に鬼殺隊は刀剣を所有している。
しかし、扱い方を間違えれば誰かの命を奪うものとなり得る。それは刀剣という武器を持っているからだ。

お前はその罪の意識から真っ向から向き合うことが出来るか。」

鱗滝の言葉は早苗の身に重くのしかかる。

「…それでも、俺は刀剣を作ることに身を捧げたいと思います。

誰かの命を奪うものであるのと同時に、誰かの命を救うものだと思っています。
砂鉄や岩石から取り出した鉄が、いろいろなものに変じることに魅了されてしまいました」

鱗滝から言われるまで気づいていなかったという訳ではないが、やはり実際に命懸けで剣を振るう立場にある人間から発する言葉は、重みが違うと早苗は思った。


何かを作ることは責任を伴う、ということを早苗は鱗滝を介して理解した。
厳しいことを言われたが、事実であったし第三者の目線から己の生業に助言してもらったと捉えている。
そういった縁を大事にしたいとも思った。


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