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また別の休みの日には、早苗は鉄穴森の元へ訪問して刀鍛冶に関する見聞を深める。
鋼鐵塚とはまた異なる刀匠の見解を知る目的である。

荒々しい性格の刀匠が多い中、鉄穴森は穏やかで波風立てない性格の持ち主だ。
そんな性格を著しているのか、彼が作る刀剣はどれも芸術作品に値するほど美麗である。
日が当たると、青々しく輝きを増す刀に感嘆のため息をつく早苗。

「鋼鐵塚さんの刀剣も素晴らしいけど、鉄穴森さんのも見ていて惹かれてしまいますね!
刀身もそうだけど、鍔も凝ってるな〜」
「ありがとう、鉄明!
鍔も刀剣を作る上で欠かせないものなんですよ」

鉄穴森は、自分が今まで作ってきた刀剣の鍔の鋳型を早苗に見せる。

「…そうか、鍔も大事な装飾品…」

早苗が思い浮かぶのは、木剣や竹刀を使った打ち合い稽古だ。
鍔そのものの意義は刀身に手を滑らせないという事にある。さらに副次的には、相手から突かれた刃から己の手を護るという事もある。

「よかったら、それを持っていってもいいですよ」
「え!?…いいんですか?」

早苗の言葉に快諾した鉄穴森に、鋳型を暫く借りると約束した。
それから鉄穴森が実際に鋳型に鉄を流し、再度作り直してくれた鍔を大事そうに抱えながら、早苗は帰路に着く。

鍔の意匠に惹かれ、早苗は鉛筆と紙で模写する。



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