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眼前に広がる見知らぬ風景に夢をみているのだ、と美登里は気づいた。

長閑な田園風景である。
風によって運ばれてくる草の匂いに、夢である筈なのに…と思いながら深呼吸をしてしまう美登里であった。
ふと美登里は、1人のブロンドの髪を持つ少女が自分の方に近づいてくることに気づいた。

美登里は咄嗟に傍にあった木の影に身を隠した。何となく、この人物と話を交わしてはいけないと感じたからだ。

ブロンドの髪を流した少女の服装は少し古めかしく、歴史の教科書で見た近現代のヨーロッパの少女のような格好である。
少女は持っていた編み籠を木の枝に引っ掛けると、そのまま急ぎ足で立ち去る。

ブロンド髪の少女が走り去るのをみて、美登里は木の影に潜めていた身体を顕にする。

「------おや、君は誰だい?」

背後から声をかけられたので、美登里ははっとし後ろを振り向いた。
それと同時に、鼓動が何故か早くなった。

1人の青年だった。顔は見覚えのある人物と瓜二つで、美登里はあまりの驚きで声を出せない。
青年は声をかけても反応をしない美登里を、訝しそうに見始めた。
しかし意を決して、美登里は名を名乗ろうとする。

「私は…」


***

寝に入るのも覚醒するのも突然なことで、美登里はしばらく目が覚めてもぼんやりしてしまった。

青年に自分の名前を名乗ろうとした時に、美登里の意識は覚醒した。
果たして、夢という現象と呼んでいいのか判断しかねることに美登里は戸惑う。
混乱する状態ではあるが、1度身を清めて頭の切り替えをしようと美登里は立ち上がる。

ふと自室にある鏡に目を向けると、人影らしきものが映っている。美登里は一瞬身体が怯む。そして、再び鏡の方を見やるとそこには何もない。

「…」

見間違いだったのだろうか、と自分を落ち着かせる為に思いつくが、どうにも腑が落ちない。
一瞬だけ捉えた人影の身体的特徴が、ブロンドの髪であったことに美登里は動揺を隠せない。

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