×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -





2階の自室から1階へと階段を下っている時、玄関の呼び鈴が鳴った。
すでに夕方という時間帯はとうに過ぎ、玄関の小さな飾り窓から見える外の風景も暗い。
そして両親もいない中、1人で留守を任されている美登里は僅かに緊張し、ごくりと唾を飲み込んだ。

ドアスコープを覗いてから戸を開けようと、美登里は少し背を伸ばす。
そして、確かに信用出来る人物だと判断し彼女はドアを開けた。

「…こんばんは。仗助くん」
「…こんばんは。…博巳さん達はいないの?」
「うん、お父さんの故郷に2人で帰ってるの。
私は明日バイトがあるからお留守番。
…上がっていく?」

この日の昼間にあった出来事に対して、もう1度話したいと思って美登里自身、彼を招き入れた。仗助は1度帰宅してから訪れたようだ。

仗助をリビングに通すとソファに座らせ、美登里は茶の準備をする。

「何か飲む?緑茶もあるし、紅茶もあるし…」
「ん…別にいいよ。美登里ちゃんの様子、心配になって来ただけだし」
「…」

仗助のその言葉を聞いて、美登里はキッチンからリビングに戻り、そして彼の横に腰掛けた。

「…昼間のこと、ちゃんと謝りてぇなって。
デートもちゃんと出来なかったし…」
「…ううん。仗助くんが謝ることじゃあないよ」
「だけど…。…あーくそ!俺ってかっこわりぃな、ほんと!」

突然、仗助が大声を出すので美登里は目を瞠る。

「あっ、ごめん!突然大声出しちゃあびびるよな…」
「う、ううん…大丈夫。やっぱり、飲み物持ってくるよ。その方がゆっくりお話出来るよね?」

美登里の問いかけに、仗助は頷いた。

美登里が入れてくれた緑茶に喉を潤わせたところで、仗助はゆっくりと話をし出す。

「…俺、お袋や大事な奴らが誰かに傷つけられるのは嫌なワケよ。ブチ切れて自分でもワケが分からねーくれぇになっちまう」
「…うん」
「…そん中に、美登里ちゃんもいるワケよ。だからって、アレをするなコレをするなって束縛するよーなことはしたくねぇ。
…そこまでしといて、やっぱり守れなかったら情けねぇからよ」
「…ごめんね、私も仗助くんの力になれれば良かったのに…」
「…あのなぁ、そういうことじゃあねぇの!
美登里ちゃんはそのままでいいんだって」
「…うん。
…でもね、承太郎さんともお話してみて、スタンド能力が上がるかどうか試してみたいと思ってたんだ。
…間田先輩って覚えてる?」

仗助は今まで険しい顔をしていたものの、美登里から口から出てきた人物の名前を聞いて目を瞬かせる。

「…間田先輩っつーと、コピーロボットの…?」
「うん、その人。
承太郎さん達がアメリカに帰る時に聴いたら、間田先輩が私のスタンドに酷くされたっていう話を聞いたって。…それで直接話を聞きに行ったの」

仗助ははぁ〜と明らかさまに長い溜息をつく。
美登里はその様子を見つめながらも、話を続ける。

「私はまだその時、自分の影が自分の指示通りに動くってことしか知らなかったんだけど…

間田先輩曰く、その影自身がまるで意思を持っているかのようだった。影が不気味に笑っているのを見ているしかなかったって聞いて、…それで思ったの。

…レッド・ホット・チリ・ペッパーのスタンドの首を締めたこともある。私の中にある人を懲らしめたいという思いが、強く出ちゃったんだと思う」

ここで、美登里はあることを告白するつもりだった。ただ、それをすれば今目の前にいる人物に悪い印象を抱かせるということを確信していた。



(3/3→)
(←1/3)






-136-


目次へ