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仗助と美登里を乗せた町内循環バスは、丘の上から街の中心地へと進む。

乗った停留所からは、乗客は2人と露伴とそれから2組の観光客くらいだった。
しかし次第に街の中心へと近づくと、バスの中が人で溢れんばかりになった。
観光シーズンの効果、といった所だろうか。

じっと窓の外を眺める美登里の横顔を見て、仗助は彼女の耳元に口を寄せた。

「… 美登里ちゃん」
「…ん?どうしたの、仗助くん」
「目的地までちょっと遠いけど、降りようか?
昼飯探しながら歩こうぜ」

美登里は突然の申し出に驚いたようだったが、すんなりと仗助の言葉に同意した。

2人が降り立ったのは杉並木が整然としている住宅地だった。
まさに地元の住民しか立ち寄らない場所であり、騒がしいよりは静かな場所だった。

はて、ここは街のどの辺りになるのだろうかと美登里は少し不安になる。仗助は彼女に手を差し伸べる。

「…んで、お昼どうしようか?」
「…んー…、この辺よく知らないからなぁ…。
仗助くんにお任せしてもいい?」
「いーよ。
行きつけのお店だけど、そこ行こっか。ちょっと小汚いけど」
「…仗助くんのおすすめなら美味しいんだろうなぁって思ってるから、大丈夫」




「おばちゃん、元気?」
「…あら仗助くんじゃあない!久しぶりねぇ。
しかも女の子連れてきてるし!隅に置けないわ」
「…こんにちは」
「はい、こんにちは」

にこにこと愛想良く笑う年配の女性と仗助は顔見知りのようで、仗助は勝手知ったるといったように店内の奥まで進む。
お洒落とは程遠い、こじんまりした店内はどこか懐かしい感じがした。

2人が奥にある4人がけのテーブル席に着くと、女性は水の入ったコップを2つ置く。

「で?注文どうする?仗助くんはいつもの?お嬢さんは?」
「わ、私は…」
「おばさん、メニュー見てからでいい?」
「はいはい、邪魔したね」

矢継ぎ早にオーダーを促す女性に仗助が適当にあしらうのを、美登里は何だか微笑ましく思ってしまった。
ちょうどメニューを開き、美登里と目線を合わせた仗助はそんな彼女の様子を見て不思議そうにしてみた。

「…どうしたの美登里ちゃん。急ににこにこして」
「え!?…あ、なんかやり取りが微笑ましいなぁって思ったの。
仗助くん、年上の人に可愛がられてるイメージがある」
「は、はぁ!?何を突然!?」
「だ、だって…承太郎さんやジョセフさんとか、朋子さんとかのやり取り見てるとそう思う…んだけど」
「…」
「…なんか、ごめん。変なこと言っちゃって…」

美登里は急に静かになった仗助に、途端に心配になった。
仗助がぽつりと「…好きな子にかっこよく思われてーんだけど」と小さく言い、口を尖らせる。
拗ねたようにこちらを見つめる仗助に、美登里は反省する。

「…うん。仗助くんはかっこいいよ。
でもそれだけじゃあない所が、私は好き」
「…もー、美登里ちゃん。それだけ言えばいいと思ってんの?

…ま、それはそれでさ。ここ、ガキの時から行きつけなんだよ。俺のおすすめは…-----」


「…どう、美味しかった?」
「うん!…また来ようね」
「あら?また来てくれるの〜嬉しいわぁ」

女性店員の暖かさに触れ、美登里はお腹と気持ちも満たされたのだった。


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