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「#お仕置き」のBL小説を読む
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「…あ、ここ真っ直ぐいけば定禅寺の通りなんだね」
「そっ。…今行った定食屋さん。小学の時よく行ってたんだよ。
お袋とかじいちゃんの帰りが遅い時に、おばさんが食べにいらっしゃいって言ってくれてさ」
「…そうなんだ。じゃあ私も覚えとこ。あのお店のあった所」
「…美登里ちゃん?」

きょろきょろと辺りを見回す美登里の雰囲気に仗助は声を掛ける。
暫くすると、美登里は仗助と向かい合う。

「…バスから降りた時に、私の知らない杜王町はまだまだあるなぁって思ったの。
まあ東京にいた時も、そこまで土地勘がある訳ではなかったけど。

…仗助くんと色んな場所に行ってみたいなぁって」
「…まーたなんか思い詰めちゃう癖が出てるの気になるけど。
…俺も美登里ちゃんと、いろんなとこ行ってみたい。いつか東京に連れてってよ」
「…うん!もちろん…」
「…あの…。東方仗助さん、ですよね…?」

ふと仗助の背後から声を掛けてきた人物がいた。仗助は振り返り、美登里は彼の傍に寄り共に声を掛けてきた人物を見つめる。

1人の子供だった。
その人物は2人とも見覚えがある。

「…てめーは川尻早人だったな…」

仗助の言葉に早人はこくりと頷いた。
彼が子供らしかぬ勇気ある行動を取ったことを、2人は覚えていた。

「…突然、声をかけてしまってごめんなさい。
ただ…その…」
「…気にしなくてもいいよ。
それより…早人くんは元気してた?」

早人がちらちらとこちらを伺うように見る様子に、美登里は穏やかな笑顔で話しかけた。
早人は次に仗助に目を向けるが、仗助は黙って見つめ返すのみだった。

「…はい。僕と…ママも元気というか、いつも通りに過ごせてます」
「そう、それならよかった。

…いきなり、あんな事件に遭ってしまって驚いたでしょう。早人くんの生活にも大きな影響が出てしまって…。」
「…確かに、僕のパパは吉良吉影のせいで死んでしまった。

でも…吉良吉影にも人間味があった…
少なくともパパよりも、ママに愛情を持って接してたみたいだ」

早人が言葉を紡いでいる間、美登里は耳を傾けながらも吉良と接した時のことを思い出していた。

「…人間味、ねぇ…。
それなら重ちーにも情けをかけて欲しかったよな」
「…仗助くん」

仗助は早人の言葉に反論するように、皮肉めいた言い方をする。美登里が咎めるように声をかけると、仗助は一瞬顔を顰めてみせ、それから明後日の方向を向く。

「…人間味というか、…いい言葉が思いつかなくて。でも人が変わることってあるんだ、というのが1番印象に残りました」
「…確かに。でも人って変わるものだと思うんだ。私も…この街で変わることが出来たから。

特に吉良吉影のように、殺人を犯した人がいい方向に変わることってそうそうないと思う。
だからといって、彼の行為全てに賛同する訳でもないのだけど」



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