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その日1日、美登里は何か考え込んでいる様子であった。
仗助がいつものように話しかけたら返事はしてくれるのだが、彼女が自ら話しかける行為はしない。

「…美登里ちゃん、何かあった?」

意を決して、仗助は放課後もう一度彼女に話しかけると美登里は口を開きかけては、言い淀む。

「…」
「俺でよければ話きくぜ?」
「…うん。…ここじゃあ、皆聞いているし場所変えない?」


美登里の提案に、2人は街の中心部にほど近い公園に行き着く。
仗助は一度、美登里とこの場所に来たことがある。

公園には、広いグラウンドでサッカーのボールを追いかける子供達、舗装された人口池の傍をゆっくりと散策する老夫婦、ジョギングをする人達…と思い思いに様々な活動をしている。

仗助と美登里は、その中で木漏れ日が降りそそぐベンチに腰掛けた。

「…ごめんね。気にするほどでもないとは思うんだけどね。」
「…いやぁ〜、美登里ちゃんがそういう顔をしている時は、なんかあンだよな〜…」

仗助がそう指摘すると、美登里は苦笑いする。

「…本当に何でもない、些細なことなんだよ」
「…」
「午前中のこと、何だけどさ…」

美登里はぽつりぽつりと、仗助に伝える。

エニグマの少年に制裁を下した際の状況についてである。

「…仗助くんの能力のこと、全部知ったつもりでいたんだけど…。ちょっとだけショック、だったというか…

勿論、ああいう償いをするべき人間に相応しいことだと思っているよ。私も、一度だけレッド・ホット・チリ・ペッパーの首を締めたことがあるし…」

美登里の口から、自分の能力について言及された仗助は暫し無言となる。

「…実は、こういうことは2回目なんだよなぁ。

俺の家近くに大きい岩があるだろ?
それは元々アンジェロってゆー、じいちゃんの敵だった奴の名残なんだよ…」

仗助の言い放った言葉に、美登里は緊張で身を固くし、唾を飲み込んだ。

「…何も怖がらせようっていう意味じゃあねーんだけどよー…

一度腹が立ったら、自分でも訳が分からなくなるんだよ。今回だって、人質にお袋や康一、美登里ちゃんが取られたからやるしかなかった」

そう美登里に語る仗助の顔は、どこか諦めがついたかのように、悟った表情であった。
その表情をみて、美登里は彼が孤高に戦う英雄というより、1人の悩める男のように思えた。

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