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じめじめとした梅雨空がこの数日、曇りがなくただ青空が広がる空模様を見せていた。
九州に続き、関東まで昨日梅雨明けを発表したばかりだから、この地方に在住する人々は団扇や日陰を歩きながら、夏の到来を楽しみにしていた。

県外からの観光客がこの風光明媚な土地で、夏を楽しもうとやってくるのを迎えいれる杜王町の界隈は準備に勤しんでいた。

美登里が勤めるカメユーデパートも、お中元の季節が差し迫り、繁忙期を迎えている。
事務作業の量が通常よりも増加し、まさに猫の手も借りたいくらいの忙しさで、帰る頃には美登里はくたくたに疲れていた。
夏の暑さも相まって、身体が鈍になったかのように気怠い時にもある。

「… 美登里ちゃん、最近元気ねーなァ。バイトで疲れてる?」
「う、うん…。最近忙しいんだよね…」

下校時間となり、仗助や億泰と下駄箱付近でそんな話をしながら美登里は眠気の為に欠伸を一つする。

「あんまり無理すんじゃあねぇよー」
「…ちょっと通るわよ、虹村くん」
「あ、おぅ…」

仗助と億泰に心配される中、1人の女子生徒が現れる。
すらりとした長身の女の子は、美登里も以前見かけたことがある。
山岸由花子である。
由花子はそのまま、その場を立ち去ろうとする素振りだったので、美登里は意を決して言葉をかけた。

「こ、こんにちは。
はじめまして、白石 美登里です。
…貴方も、仗助くんや億泰くんのような能力を持っている仲間と聞いています…」

…由花子は立ち止まり、美登里をちらりと一瞥する。

「…別に仲間なんかじゃあないわ。康一くんが困っているなら助けてあげるけど」

と一言言うと、由花子は今度こそこの場を去る。

「…由花子のやつ、いつもあんな感じだからあんまり気にしない方がいーよ」
「う、うん…でも前から気になってた子に挨拶できたんなら、それでいいの」


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