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不思議な小道で、杜王町に潜む殺人鬼がいるという事実を知ってからというもの、美登里は緊張の糸が張り詰めている感覚を持っていた。

10数年間も捕まることもなく、一般人と紛れて生活している人物といつ、どこで邂逅するか分からない。
況してや、美登里のようにスタンド能力という不思議な力を持たない友達や家族に危害を加えられるような事があれば、不安で堪らない気持ちになる。

そうした状況になったら恐らく自分の身を挺して彼らを守るだろう、などと美登里が思いを巡らしていると誰かが自分を呼んでいると美登里は気づいた。

「もー!美登里ちゃんたら、また上の空!」
「いいじゃあない。瞳と違って、美登里ちゃんは考えることが好きなんだから」
「何それー!?私だって色んなこと考えてるよぅ!」
「へー例えばどんな?」
「そ、それはその…」

知恵の言葉に口吃る瞳の姿に、美登里は優しく微笑む。
今は下校の時間帯で、知恵と瞳とともに通学路を歩いていたことに今更ながら美登里は思い出す。
学校で顔を突き合わせても尚、話題が尽きぬ様子が3人の雰囲気から伺える。

「…で、結局美登里ちゃんは何か困ったことはあるの?」
「あ、えっー…と…」
「仗助くんのこととか!?」
「また瞳はそーやって話を折らないの!」

再び知恵から瞳への文句が飛び交う。
美登里はそんな2人を宥めつつ、そう離れていない所を歩く見覚えのある後ろ姿に注目した。

その人物は、長身でかなり目立った。
ぶどうヶ丘高校の生徒達は彼の横を通り過ぎるとすぐ興味深く、その出で立ちを観察する。
美登里は数回だけ会ったことがある、その人物に向かって呼びかけた。

「こんにちは!お久しぶりですね。…トニオさん」
「ん?…おおー!アナタはあの時の…!」

ふいに呼びかけられたトニオは、後ろを振り返り美登里を認識すると、初めは驚いた顔をするが、すぐにっこりと満面の笑みで挨拶を返してくれた。

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