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杜王町には、「浄禅寺」という地域がある。
この一帯は、かつてこの地を治めた武将の家来衆の居住地であった。

その一角に静かに佇む日本家屋がある。
杜王町を脅かす連続殺人鬼「吉良吉影」が暮らしていた、とされる住宅である。
他人に成りすまし未だこの街に潜伏している彼の足跡を辿るには、まず家宅を探ること、彼の人となりを把握しなければならない。

夕刻が近づくなか、人混みに紛れ込んで逃走した吉良吉影の家を捜索しようとする承太郎と仗助、億泰そして康一とともに美登里は随行を申し出た。
しかし、承太郎はその旨を受け入れずジョセフとともにいる事を勧めた。

「…仗助のスタンドで傷は治ったが、頭を強く殴られたようだな。若いとはいえ、脳の方にダメージがないとは言い切れない。

安静にしておいた方がいい。幸い、スピードワゴン財団の職員がじじいの定期検診で来ている。」

 
承太郎の勧めにより、美登里は1人杜王グランドホテルに戻ってきた。ジョセフは彼女の訪問を喜んでくれたが、事の次第を知らせられると顔を曇らせた。

「…そうか、…それは厳しい状態になったのぉ。

…しかし美登里ちゃんがこうして無事に帰ってくれたこと、それが何よりじゃよ。」
「…ジョセフさん…」

ジョセフの言葉に、美登里は言葉を詰まらせてしまった。そしてじんわりと目頭が熱くなり、泣く姿を見せまいと顔を俯かせる。
それを見てジョセフは苦笑いを浮かべ、彼女の頭を優しく撫でた。

美登里は頭を撫でられながら、今まで普通に会話をしていた人物が殺人鬼であったという事実を受け止めきれずにいた。
どうして、何故…と疑問や不安が次から次へと頭に浮かんでくる。

ジョセフは美登里が落ち着くまで、決して言葉をかけなかった。

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