アルエが断ろうと口を開こうとしたが、今にも泣き出してしまいそうなマスターを見て、気の毒に思ってしまった。
「い、良いですよ。私なんかで良ければ」
困った人を放ってはおけないアルエは結局引き受けてしまう。
マスターは跳ね上がるほど喜んだが、逆に皆からは気の毒そうな表情をされてしまった。
「じゃあ、ね…これ着てやってもらえるかな」
「は、はい」
渡された服を広げる暇も与えられずに奥へと押し込まれてしまう。
渋々とカウンターの奥にある控え室で着替え始めようとしたが、服を広げた瞬間、アルエは固まってしまった。
「な、なん、ですか…これっ」
若干マニアックな雰囲気の漂うメイド服。
そこで済めば良いものの、仕方なく着てみれば、思った以上にプリーツの丈が短い。
少しでもお辞儀をしてしまえば、下着が見えてしまいそうだ。
ご丁寧にニーソックスとそれを留める為のガーターベルトまで付いている。
一体何処からこれを用意したのか疑問に思うが、引き受けた以上、やるしかない。
「やっぱり、止めておけばよかった…」
渡された衣装