「……」
「何やってんだ、おっさん」
「シーッ!アルエちゃんが起きちゃうでしょ!」
ソファーベッドで眠っているアルエを囲んでいる二人の男。
一人は紫色の羽織を纏った男でじっとアルエの寝顔を見ており、もう一人は黒い服を纏った長髪の男で、紫色の服を着た男を呆れ顔で見下ろしていた。
「襲う気満々なんだろ」
「ばっか、いくらおっさんでもそんな見境のない行動はしないって!」
「本当かよ…」
「何で信じないかねぇ」
――まあ、襲う気はまったく無かったって言ったら嘘になるんだけどね。
「此処に寝かせといたら風邪ひくぞ。おっさん、部屋に連れて行ってやれよ」
ひらひらと手を振りながらユーリが去っていくが、それも脇目にも入れず、ひたすらアルエの寝顔に魅入るレイヴン。
「ん、…ぅう…」
寝返りをうつアルエがあまりにも可愛くて、ついつい顔へと手が伸びる。
指先に柔らかい頬が触れ、直に温かさを感じる。
――キスくらいしても許されるよな?
等と思いながら、指でアルエの唇をなぞる。
と、自然に舌舐め摺りをしてしまう。
徐々に顔を近付け、アルエの唇と己の唇を重ね合わせる。
思った以上の柔らかさと弾力さに思わず貪りたくなる。
そっと口を離してやると、うっすらとアルエが目を開き始めた。
「おはよう」
「レイヴン、さん…?あれ…ソファーで寝て…」
寝惚けが取れず、思考が鈍る。
「アルエちゃん」
「ぅ、…はい?」
「キスして良い?」
「え…いきなり、何でですか…?」
いきなりの発言に何て返したら良いのか分からず聞き返したが、それについての返答はなく、代わりに唇へと口付けをされた。
「は、ふ」
苦しそうに声をあげるアルエが堪らなく愛しすぎて、更に奥へと侵入する。
とんとん、と胸を叩かれていたが、次第に抵抗も少なくなり、直ぐに大人しくなった。
長い口付けを交わし、漸く離してやりアルエを見下ろす。
「あらら…」
レイヴンの腕に抱かれ、アルエは身体を丸めて再び夢の中へと入ってしまっていた。
仕方ないな、とレイヴンは苦笑し、アルエを抱え部屋へと向かう。
――まったく、何処までもマイペースな嬢ちゃんだ。
(そんなところに惚れたんだろうけど)
居眠り