「亡くなってる人、ですよね?…多分、レイヴンさんの大切な人…なんだと思いますが」

そこまでわかっているのかと、内心驚きを隠せなかった。
隠し通すことは出来ないとわかったレイヴンは肯定する。

「…そ。おっさんが好きだった子…」
「私に、似てます、よね…?」

今度は言葉が出てしまった。
アルエの目から涙が溢れる。
それについてもレイヴンは肯定した。

「ああ…」
「私は、この人の身代わり、なんですか…?」



紡ぎたくなかった。
こんな言葉を自分から紡ぐなんて、自分の…“アルエ”という存在を自分から否定しているようなものだったから。



「それは…」

違う、と言いたかったが、彼女に初めて接触したときはキャナリの代わりとして見ていたから、否定は出来ないと思い、言えなかった。
そんなレイヴンの様子を見て、アルエが困った様に笑う。



知らなくても良かったこと

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