私は只の身代わりだったのだろうか。

目の前にある写真立てを眺め、アルエはぼんやりと考えていた。
騎士団の衣装を纏い、白銀の弓を片手に微笑む女性の写真。
それは、驚く程にアルエに似ていた。
事実、アルエ自身も一瞬自分かと疑った程だった。

と、背後から扉をあけ、人が進入してきたのを感じた。


「レイ、ヴンさん…」
「どうしたの?声なんか震わせて」

状況が把握出来ていなかったレイヴンはいつもの調子でアルエに近付いたが、アルエが持っている写真立てを見て黙り込んだ。

「誰ですか、これ」

私と似ている、と今は口には出さなかった。

「それ、ね…」

レイヴンは見られてしまったかと苦笑を洩らす。



立て掛けられた写真

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