――ああ、またやってしまった。


ぼんやりと袖に滲み渡る赤い染みを見つめながらアルエがごちる。
野宿の準備の為に、薪の代わりになる木の枝を探していたのだが、背後から現れたモンスターに不意を突かれ、負傷してしまった。
治癒術が使えれば良いのだが、生憎自分は攻撃術しか使えない。
戻ってエステルやレイヴンに治療してもらうか、アップルグミを摂取するしかないのだが。

「結局皆から心配されちゃうんですよね…」

どちらを選んでも皆のところに行くことになり、心配されるかもしれない。
それはそれで面倒だとアルエは苦笑する。



「レイヴンさんに治療してもらおう…」

レイヴンであればそこまで騒ぎ立てられることはないだろう。
エステルやカロルだと、大騒ぎをされるかもしれない。


――でも、レイヴンさんも過保護だし。


ひっそりと溜め息を吐きながらもと来た道を引き返す。



滲む血

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