「あ…れ…?」
アルエの声で吐き出された言葉はアルエ自身にも聞こえていた。
「なん、で…おっさんが目の前に居るのかねぇ…」
――寝惚けてんのかな。
等と思いながらレイヴンの身体をマジマジと観察する“レイヴン”。
「私の声でおっさんなんて言うの止めてください…」
「わっ!シャベッタアァァァァァァ、じゃない、おっさんが喋ったわ!って…もしかしてアルエちゃん?」
自分の言葉がレイヴンの声で出てくるのが恥ずかしすぎて、はい、とは言えず、首を縦に振った。
「…なんで?」
「…さあ」
――私に言われても知らないし、こっちが聞きたいくらいですよ。
まったくもって迷惑な話だ。いつ元に戻るかもわからない、そもそも元に戻るのかどうかさえもわからないのだ。
はあ、と溜め息をついて頭を抱える二人。
どうすることも出来ず、案も浮かばず時間だけが過ぎていくばかりだ。
「あー…アルエちゃんの身体柔らか…」
「ちょ、な、なにして!?」
アルエの二の腕や腿を触りながら感慨深く溜め息をつくレイヴン。
――人の身体を好き勝手に!
「アホなことしないでくださいよ!」
「おぉっと、おっさんがおっさんに怒られちゃった」
――変な気分だわ。
その上アルエの口調である。複雑な心境だ。
Mit Anderung des Korper2