それは、いつもと変わらぬ朝に起きた。
「ん…うぅ〜…」
早朝、いつも起きる時間よりも少し早めに目覚めたアルエが呻きながら布団の中で背伸びをする。
瞼が完全に開いてくれず、何度か目許を擦り、開こうとする。
ぼんやりと視界が開けてくると、アルエは目の前に見えた人物のお陰で嫌でも覚醒してしまった。
『な、な、な、…』
――何で“私”が“私”の目の前に!?
なんと、目の前にはアルエが居たのだ。
気持ち良さそうに眠っていたが。
幽体離脱でもしてしまったのかと、身体を触るが、ちゃんと実体はあった。
あったのだが…。
「んなあぁぁぁ!?」
触った身体をよく見てみると、それはレイヴンの身体だった。
どうも、何が原因かはわからないが、アルエはレイヴンの身体に意識だけが入り込んでしまったらしい。
だとすると、レイヴンの意識はどうなるのだろうか。
――まさか。
考えれば考えるほど、最悪の結末しか思い浮かばないわけで。
アルエは傍で眠る己の身体を見ながら溜め息をついた。
「…私の中にいるってこと、ですよね」
言葉に出して言うと、それはレイヴンの声で吐き出され、あまりの可笑しさに噴き出してしまった。
――だめだ、喋っちゃ…。
ぷるぷると肩を震わせながら笑いを堪えていると、傍からゴソゴソと布団が擦れる音が聞こえた。
Mit Anderung des Korper1