『それでは、皆さま良いお年を』

テレビの中の女性がそう締め括ると、今まで見ていた番組が終わりを告げた。
番組だけではなく、今年も終わりを告げていたのはきっと気のせいではない。

「良いお年をー、なんつってるけど、あと5分でどうやって良い年を過ごせば良いのかねぇ」

蕎麦を啜りながらそんなことを言う物理教師が横に居た。

「そうじゃなくて、良い新年を迎えてくださいってことじゃないんですか?」

さして興味は無さそうに切り捨てた教え子。
いつもとはうってかわって可愛くない態度をされ、教師――レイヴンが横目で生徒――アルエを見ながら蕎麦を啜る。

「おっさんには分からんわー」

ご馳走様、と手を合わせ、食事を終わらせたすぐあとにごちる。



「あー、さむさむ、炬燵から出られないわこりゃ」

大袈裟にぶるぶると震える素振りをしていたレイヴンを見て、アルエは飽きれ顔になる。



年越し蕎麦

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