「ね、アルエちゃん」
「あ…ッ、なん、です…?」

アルエの耳元に唇を寄せ、耳朶を軽く噛んでやる。

「孕ませたら、怒る?」

屈託のない笑顔を向けながら言った台詞はとんでもないものだった気がしたが、アルエ自身もそれを感じとったのか、レイヴンの腹目掛けて拳を入れる。
ぼすん、と鈍い音と共にアルエの上に乗っていた男が情けない呻き声を搾り出しながら悶絶していた。
その姿も、呆れるくらいに情けない。

「アルエ、ちゃ…」

漸く声が出せるようになったかと思えば、最早行為の続きをする元気も無くなったのか、そのままアルエに覆い被さるようにして倒れ込んでしまう。

「こんな、大事な時に…何を考えているんですか…っ」

気を失っているレイヴンの身体をどうにか押し返し、身頃を整え、布団の中に潜り込んでやる。

アレクセイの野望を止める為に、明日はザウデに乗り込むと言うのに、お盛んな人だとアルエは溜め息を吐いた。


――時期関係なしに年中盛っているのはある意味良いことだとは思うけども、子孫を残したいのであればだけれども。



熱帯夜NGパターン

- 89 -
PREVBACKNEXT
top鴉と兎
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -