言葉で伝わらないなら、身体で教えてやる。
――って考えたものの、アルエだもんな。
(華麗に流されてしまうんだろうな、本人にはそんな気はないんだろうけど)
「アルエ」
「ユーリ…?」
はたして彼女は今この状況をどう思っているだろうか。
ユーリがアルエの身体に馬乗りになり、アルエをベッドへと押さえつけてしまっている。
ユーリは今にもアルエの首筋へと食らい付こうとしているが、一方のアルエはきょとんとした表情でユーリを見上げていた。
「あの、ユーリ、私に馬乗りになっても…私馬じゃないから走りませんよ…?」
「はぁ…」
的外れなアルエの台詞に腹に溜め込んでいた空気を嫌でも吐き出してしまう。
――まったく、この状況わかってないのか…?
「あのな、アルエ」
「は、い?」
「男と女が同じ部屋に居て、女がベッドに押し倒されていたらすることなんて限られてくるだろ」
流石に此処まで言えばいくらアルエとはいえ理解してくれるだろう。
身を捩って抵抗をするに違いない。
…尤も、暴れようが放すつもりなどないし、止めてやろうとも思わない。
取り合いっこ1