第11話「説教は食事の後で」のスキ魔



※若干の裏要素(ディープキス/行為の匂わせ等)がございます。苦手な方はご注意ください。



「今日は随分と、楽しんでいたようですね? ナマエさん?」
「……イルマくんが可愛くて、つい」

試食会を無事(?)に終えた、ナマエ。 彼女は今、ダリの私室へとやって来ている。 腕を組みナマエを笑顔で見つめる、ダリ。 表情や声色はいつもと変わらないものだったが、醸し出す雰囲気で、彼の怒りが相当なものだと察することが出来た。

「ごめんなさい、ダリ先生… 私、無神経なことをしてしまいました。 …反省しています」
「…いくら子供とは言え、彼も "男の子" です。 何かあってからでは、遅いんですよ」

"もちろんイルマくんがそんな事をする子だとは、思っていませんが…" そう言葉を付け足して、ダリは悲しそうに眉を下げた。 大切な彼を傷つけてしまった。 そんな罪悪感と自分の愚かさに、ナマエは自分が情けない気持ちでいっぱいになる。

「…本当に、ごめんなさい。 これからはきちんと、分別をつけるよう、気をつけます…」
「……う〜ん、本当はもっと怒る気満々だったんだけどなぁ」

しゅんと縮こまるナマエの姿に、ダリはぽろりと本音をこぼす。 ナマエの危機感の無さ、無意識に男を魅了する危うさ… 彼女のそう言った部分をもっと責めるつもりでいたはずなのに。 ナマエのあまりに真摯な態度に、張り詰めた空気は気が抜けたように。 一気に柔らかいものへと変わっていく。

「ここまで反省されちゃうと、怒るに怒れないというか…」
「…! 私が言うのもなんですが…! ダリ先生は私に甘すぎます…! もっと怒ってもいいかと…」

ナマエはこのまま許されてしまうことに、非常に引け目を感じていた。 悪いのは自分なのに、優しすぎるダリが怒るに怒れないこの状況は、ナマエの本意ではない。 ようするに、"もっと私を叱って" と言っているのである。

「そう? それじゃあ、遠慮なく "意地悪" させて貰おうかな」
「えっ…? っ、ぁ…っ!」

必死に自分を叱れと言うナマエに、ダリはコロッと態度を変える。 まさにこれ幸いと、素早くナマエの服の裾を捲し上げ、脱がしてしまおうと両手を動かした。

「ッ、だり、先生…っ、まって…っ」
「無理、待てない。 それに、もっと怒ってもいいって言ったのはナマエさんですよ?」
「怒る、って… こういうことじゃなく、て…っ、ぁ…っ」

ぱさり。 ナマエの服が床に落ちる音が聞こえる。 露わになった、ナマエの下着姿。 恥ずかしいのか、胸元を隠すように腕を交差させるナマエの仕草に、ダリはムラムラと欲を膨らませる。 しかし、余裕がないと思われるのは男としてあまりにも情けない。 ダリは平静を装いながら、軽い調子で口を開いた。

「今日の下着は黒ですか〜 いやぁ、ナマエさんの清楚なイメージとのギャップが堪らないですねぇ… 脱がすのもったいないなぁ」
「っ、おじさんくさいです、そのセリフ…」
「あはは、酷いなぁ。 普通に傷つきますよ、僕。 …そんなことを言う悪い口は、」
「っ! んっ、んぅ…っ」

自分でも "おじさんくさい" と思ったけれども。 ナマエの口から言われると、心に来るものがある… しかしそれと同時。 そんな風におじさん臭いと扱われることに対して、若干興奮してしまっている自分がいるのも事実で… そんな自分の変態さに呆れつつ。 ダリは、高まる興奮を抑えられず、ナマエの唇を強引に奪った。

最初は、唇を重ねるだけのキスを繰り返す。 それに慣れてきた頃合いを見て、舌で唇をぺろりと舐めながら甘噛みをする。 すると、少しずつ開いてくるナマエの唇。 すかさずそこに舌をねじ込めば、もう、こちらのもの。 ダリの舌は無遠慮にナマエの口内を掻き乱す。 歯列をなぞり、舌を吸い、互いの唾液が下品に絡み合う。 そんな濃厚なキスに、ナマエはされるがままだ。

「んっ、はぁ…っ、はぁ…」
「っ、もう目がとろんとろんですね、ナマエさん。 …キスだけで、気持ちよくなっちゃいましたか?」

長い長いキスの後、ダリは "意地悪く" 問い掛ける。 これも彼女への "意地悪" の一環。 恥ずかしそうに照れる姿を想像して加虐心が煽られるダリだったが、そんな彼の予想は無情にも、すぐに裏切られることとなる。

「…は、い」
「っ、」
「…もっといっぱい、"意地悪" してほしいです、」
「っ、ほんと、あなたってひとは…っ!」
「ッ、あ…っ、」

まさかの返答に、熱くなるダリの胸。 これでもかと興奮させられて、余裕もへったくれも、何も無い。 ダリは昂る気持ちを抑えられず、ナマエの下着へと手を伸ばした。

「…覚悟してくださいね。 今夜は、寝かせませんから」
「っ、!!」

せめてもの抵抗をと、余裕のある素振そぶりを見せつける。 しかしそのセリフのあまりの凡庸さに、内心苦笑いを浮かべるダリなのだった。



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