第2話「食わず嫌いはいけません」 のスキ魔



「( 朝っぱらから、よくやるよなぁ… )」

食堂のテーブルに頬杖をつきながら、ツムルはそんなことを考える。 彼の視線の先。 そこには心底楽しそうにナマエにちょっかいをかける、ダリの姿があった。

「( 邪魔になるからテーブルに、って。 言ったのはどこの誰だよ、全く… )」

朝食を作るナマエの邪魔にならないよう、離れようと提案した、ダリ。 その提案をした張本人が、現在進行形で彼女の邪魔をしている。 そんな状況に、ツムルは思わず心の中で悪態を吐いた。

「( しっかしまぁ… 見事なまでの "濃い桃色ピンク" だな )」

ツムルの家系能力、鑑定色ジュエル。 相手の精神状態を、色で視認・判別できるという、非常に優れた能力だ。 少し離れたテーブルから、こっそりダリの精神状態を盗み見れば、現れたのは、鮮やかで色濃いピンク色。 この色が意味すること、それは…

「( 深い愛情と独占欲。 色の濃さは感情の強さに比例するから……… うわぁ… ダリ先生、本気ガチのやつじゃん… )」

色濃く現れたダリの心境を知り、ツムルはげんなりとテーブルに突っ伏した。 ダリのナマエへの想いは、本気も本気。 表面上、軽い男を演じているようだが… ツムルには、分かる。

「( こんなん横から手出したら、どうなることやら… 触らぬ神に祟りなし。 うん、俺は黙って見守ろう、そうしよう…! )」

未だナマエにちょっかいを出すダリを視界の端に映しながら、ツムルはそう心に決めるのだった。



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