「ケンカするなら、どっちにもあげないよ」

 ぶうっと頬を膨らませ憤慨を訴える。
 ロクサスは消えちゃうとか言うし、ヴェンは眠っちゃうとか言うし、しゃれにならない冗談はよしてほしい。

「でも」
「だって」
「こいつが!」

 同じタイミングで互いを指しあう二人。この場にアクアかシオンがいてくれればいいのに。頭を抱え、そして一気に冷静になった。

「わかった。この問題を解決する方法はたったひとつだけだよね」

 だって、ヴェンもロクサスも大好きだもの。ちゃんと平等にいかなくちゃ。
 意を決するとチョコを取り出し、机に置いた。すぅ、はぁ、呼吸を整えて……。

「きぇーーッ!」

 ベキバキドゴーン!

「うわああああっ!」
「俺のハートがあ!」

 かけ声までマスター・エラクゥス直伝のチョップによりハートチョコはまっぷたつ……にとどまらず、粉々になった。ちょっとやり過ぎちゃったかも。

「はい二人とも、ちゃんと仲良く分け合ってね!」

 文字通り二人のために心を砕いたというのに、ロクサスもヴェンも愕然としていた。しょんぼりモソモソと口に運び始めたのはしばらくしてから。食べているうちにチョコのカケラの割合でまた揉めていたけれど。

「来年は揉めたりしないよう、ちゃんと二つ用意しなきゃ」

 日記に忘れずにメモしておこう。
 その後ソラとヴァニタスがやって来て、第二次なんちゃってΧブレード戦争が勃発――来年は四つにしようと改めた。





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