あれは忘れもしねぇ、部員全員で合宿の買出しへ行った時の事だ。

俺様は部員が買い物をしているのを後ろから眺めていたんだが、ふと店の違和感に気付いた。
この漠然としない違和感に部員は誰も気付いていないようだった。楽しそうに話しながら野菜を選んでいるヤツらの横に、その違和感があったんだ。俺様のインサイトは誤魔化せねぇ。


「もやし 9円」


9円…?9円だと?どんな野草が売られているのかと思えば、それは袋に沢山入った白い綺麗な野菜だった。これがたった9円だと?10円玉を出してお釣りがくるなんて、この店の営業方針が知りたくて堪らなくなった。

それだけじゃねぇ。その横には俺様が座れそうなくらいデカい野菜が200円で売られ、その奥の棚にはペットボトルの水が50円で売られていたからだ。


「おい跡部…何や顔色悪いで」
「足りねぇだろ…」
「は?」
「ゼロがひとつ足りねぇだろ…!」









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