- ナノ -


582
 
 そんなに竜と空が好きなら、竜に乗って飛べばいいのにってよく言われるけど、と彼は言った。僕は空にいる君たちを見てるのが好きなんだ。
 好きにもそれぞれの程よい距離がある、と竜。料理を食べるのが好きな者が、作るのも好きとは限らないみたいなものだ。彼はふふ、と笑う。君は食べるの専門だもんね。彼のその言葉に、竜も照れたように笑った。


[