- ナノ -


告白

 水族館にいるとなんとなく落ち着くから休日の度に行っていた。特に半分屋外になっているペンギンコーナーが心地いい。ベンチに腰掛けて、ひょこひょこ歩くペンギンたちをぼんやり眺めていた。そのうち、そのコーナーによく来ている女性がいることに気がついた。今日も来ているな、と思っているうちに、いつしか彼女に心が惹かれていた。
 そんなある日、あの、とその彼女から声をかけられて、心臓が跳ね上がる。好きなんですか、と彼女が言うものだから、僕は、あなたが、と思わず言ってしまった。一瞬きょとんとした彼女は、それからさっと顔を赤くして、言った。ペンギンじゃなくて? 僕の顔も真っ赤になっていたに違いない。彼女は恥ずかしそうにしたまま、くすっと笑った。



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