- ナノ -


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 夕暮れの空は金色に輝いていた。竜も、竜の背中に乗っている人間も、そのひかりにまるごと包みこまれてゆく。すごくつらいのに、と人間は言った、このひかりのなかでは生きたいと思ってしまうんだ。竜は静かに頷いて、飛び続けた。人間のすすり泣く声が聞こえる。夜の帳が降りきるまで、まだ少し、時間が残っていた。


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