- ナノ -


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 ほう、と男はにっこりした。今日は彼が声をかける前に、竜が目を覚ましていたのだ。しかも心なしか、彼が初めて会ったときよりも明るく柔らかな表情をしているように思う。待っていた、と竜は言った。男は鞄から紙とペンを取り出す。今日も君の話を聞かせてくれるかな。竜はひとつ頷き、話し始めた。


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