- ナノ -


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 他の竜たちが姿を消すと、人間にだけではなく、竜の存在はあらゆる生き物から次第に忘れられていった。ただ一頭、この地に残った竜は、その身を隠そうと森に入った。動物も、虫も、彼の前に現れない。それなのに、あらゆる場所からじっと観察されているような視線を感じる。不自然に静まりかえった森で、竜は独りだった。


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