- ナノ -


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 夢を見ていたんだ、と彼女は言った。竜も人も、みんな仲良く暮らしてる夢。もし、君たちと争わずに済むのなら、私、夢から醒めたくない。ずっと夢の中にいたい。竜には彼女に掛ける言葉がなかった。彼女の頬を伝った一筋の涙。それが今も、竜の脳裏に焼き付いて離れない。


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