- ナノ -


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 人間にさ、と彼は言った。もし、もっとよくなろう、よくしようっていう向上心がなかったらさ、誰かを害すような欲望もなかったのかなってたまに思うんだ。竜は彼を見た。彼は微笑んでいた。どこか悲しそうに。その方がよかったと思うか、と竜は問うた。わからないんだ、いくら考えても。彼は答えを探すように窓の外に目を向けた。雪混じりの冷たい雨が降り続いていた。


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