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- ナノ -


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 雨粒を翼がはじく、その音を聞いて飛びながら、竜は思った。空も泣きたくなることがあるだろう。なにせ、空からは何もかもがよく見える。だが、空が泣くのは決して悲しいからだけではないだろう。竜はすい、と視線を上げる。遥か彼方の空に、美しい弧を描いて虹の橋がかかっていた。


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