- ナノ -




 竜は雨が好きだった。左右の翼を大きくひろげた竜を、天の雫がしとしととやわらかく包んでいく。しばらくして、竜が翼をたたみかけたとき、ふいに下の方から小さな声が聞こえた。栗鼠のつがいが竜の翼の下で身を寄せ合っているのだった。竜は翼を少しだけすぼめて、2 匹をやさしく包んだ。


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