- ナノ -
800
じっと蹲る竜を森の動物は遠巻きに見ていた。時折、好奇心旺盛な子らが竜に近寄ったりちょっかいをかけたりするのを、成獣たちは止めなければならなかった。だが竜は、子らが近づいてきても何もしないどころか、尻尾や手脚で遊んでやったりもする。その眼差しは優しかった。
そうして、次第に子らを止める者は少なくなり、成獣たちも竜のもとを訪れるようになったのだ。
[
←
〇
→
]