- ナノ -


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 ねえどうして、みんなドラゴンさんたちのことを怖がるのかな。竜の前脚の間に収まって少年が呟いた。僕たちが悪いことしなければ、ドラゴンさんたちだって何もしないのに。
 風が吹き抜けた。微かに暖かさが混じる風。だからこそ、その冷たさが妙に身に染みる風。竜と少年は、ただそこに、じっと身を寄せ合っていた。


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