- ナノ -
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雪がちらちらと降る日の夕方、庭の茂みに隠れるようにして真っ白な竜が体をまるめていた。少女は竜を抱きかかえ、毛布に包んで暖炉の側の籠に入れた。竜は嬉しそうにきゅう、と鳴いた。
翌朝、少女が籠を覗くと、竜はいなくなっていた。毛布と籠が濡れていた。まるで雪の塊が溶けたかのように。
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