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 晴れて竜乗りの技術を身につけた彼女は、しかし、浮かない顔をしていた。どうした、と竜が問う。彼女は言った。長年、竜と空を飛ぶのが夢でさ。一緒にがんばってきた友達がいるんだ。一人前に竜乗りできるようになったのが嬉しくて、私、真っ先にその友達に報告したの。そしたらさ、自慢? って。きつく睨まれちゃって。
 無神経だったかなあ。でもたしかに、一緒に喜んでほしい、なんて……私がわがままなのかも。彼女は哀しそうに、弱々しく笑んだ。


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