- ナノ -


714

 父親を乗せて空へ向かう飛竜を見送りながら、人の子が言った。ぼくもりゅうにのりたい。大きくなったらね、と母親が声をかけるが、子はぐずり始めてしまった。そこで竜は、母親の手を借りて背中に子を乗せ、地面に足をついたまま翼をはためかせた。はたと泣き止んだ子。次の瞬間には太陽のように笑っていた。


[