- ナノ -


706

 光の道を歩くといいよ、と竜は言った。俯いて歩いていた人間が竜を見る。竜は頷いた。明るい道を行くといい。迷ったときは、日が照らす方の空へ。わたしも向かうようにしているよ。
 気がついたら、と人間は言った。なぜか日陰の道ばかりを選んでいた。無意識だったんだ。でも、そうだね。日向を進んだっていいんだ──。人間は降り注ぐ光の中に踏み出す。その一歩と人の心を、太陽はあたたかく迎え入れた。


[