- ナノ -


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 ちょっとお隣失礼、と、岩場で休んでいた竜の隣に飛竜が舞い降りた。光の加減で虹色に輝く美しい鱗を身に纏っている。竜の視線に気づくと、飛竜は少し困ったように笑った。この鱗のおかげで人間たちにもててね。でも思うんだ。もし普通の鱗だったら、人と友達にもなれたかなって──。
 遠くから複数の足音が聞こえてきた。あ、ばれちゃった。じゃあまたね、と飛竜はするりと飛んでいった。


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