- ナノ -


689

 それは突然の出来事だった。火山が噴火したのだ。何とか難を逃れた人々を次に襲ったのは、空を覆う灰だった。太陽は覆い隠され、大地は冷え切り、溶けぬ雪のように降り積もってゆく灰に人々は追い詰められていった。そんなある日、翼の大きな竜の一団がどこからともなくやってきた。竜たちは三日三晩、懸命に羽ばたき、ついには大部分の灰を町とその空から吹き飛ばした。こうして少しずつ、町はかつての活気を取り戻すことができたという。


[