- ナノ -


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 空からもよく見える、と竜。どんな季節にここを通ってもこの木が美しい緑で迎えてくれるから、嬉しい。
 彼女は目の前の木に静かに手を合わせ、竜に言った。ほとんど葉が落ちなくて、いつだって青々としている木はね、神さまの力が宿る木として大切にされてるんだよ。
 澄んだ青空に、深い緑の葉がそよぐ。どこからか鳶の声が、高く響いていた。


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