- ナノ -


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 夜、寂しくて寝付けない人の子にはそっと寄り添って一緒に眠った。食べるものがない人のところには果物や茸、木の実を届けた。怪我をしている人には薬草で手当てをした。だが、誰も彼の姿を見たことはない。彼は透明な竜だった。人の目には映らないのだ。


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