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 たぶんね、翼のある竜しかいけない場所だけに生えている植物とか木とかあるはずなんだよ。瞳を輝かせてそう言ったのは、人間の植物学者。彼はその調査のために、高所への怖れを克服して竜乗りを習得した。
 背中越しに彼の高揚が伝わってくるようだ。準備はいいか、と竜は彼に問う。もちろんと大きく頷き、特大の笑顔を浮かべた彼を乗せて、竜は空へ羽ばたいた。


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