- ナノ -


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 気がついたらいつも同じ道を通ってるんだよね、と彼女。空に道はないから、ドラゴンさんにそういうことはないのかな。竜は首を振った。案外、あるものだ。気流や風の関係で飛びやすい場所があると、なおさらな。
 たまには思い切り別の場所を通って街へ帰るか、と竜は提案する。彼女は頷き、遠くへ行かなくても、いつもと違うところを通るのってちょっとわくわくするよね、と微笑んだ。


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