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「それでは俺の膝の上に頭を乗せて横になって下さい」

長谷部に膝枕をしてもらって、言われた通り布団の上に横になると、ふにふにと耳たぶを揉まれる。

しばらくそうして揉まれていると、耳の中がむずむずしてきた。

「それでは、始めさせて頂きます」

頃合いを見計らって長谷部が竹製の耳かきで耳孔の入口を丁寧に掻き始める。

耳かきは徐々に内側に入っていき、自分でいつも一番やってしまう辺りに来ると、優しくカリカリと耳の内壁を掻いてくれた。

人にやってもらうとこんなにも気持ちが良いものなのか。

うっとりとなすがままになっていると、コリッと固形物に当たった感触がした。

「そのまま動かないで下さい」

「ん…」

カリッカリッコリッ

カリカリカリカリ、コリッ

…パリッ!

「!」

明らかに剥がれたという感触がわかった。
ズズズ…とそれを掻き出した長谷部が、ティッシュの上に乗せる。

「取れましたよ、主」

「ありがとう」

それが剥がれた跡がピリピリとしていたのだが、長谷部が丁寧に耳かきで掻いてくれるとすぐに痒みは収まった。

「あまり汚れていませんでしたね」

「そう?」

「お痒いところはありませんか?」

「うん、大丈夫」

「それでは仕上げさせて頂きます」

長谷部は耳かきを逆に持ち変えると、梵天を耳の中にそっと差し入れてきた。
水鳥の柔らかい毛が、耳の中で右に左にくりくりと回り、残った滓を払い落としていく。

梵天を引き抜いた長谷部は、今度はガーゼで耳の外側を丁寧に拭き取り、ローションをつけた綿棒で耳の中をぐるりと拭った。

「次は反対側をやりますので向きを変えて下さい」

「うん…」

反対側を向くと、またふにふにと耳たぶを揉まれる。
そしてまた、耳かき、梵天、ガーゼ、ローション綿棒の順で耳の中を綺麗にしてくれた。

「可愛い方ですね」

うとうとしていると、長谷部に頭を撫でられる。

「お疲れでしょうから、どうぞそのままお休み下さい。寝入るまでこうしていますから」

「長谷部…」

「おやすみなさい。俺の主。ゆっくり休んで、また明日頑張りましょう。あなたには俺がついています」

長谷部のその言葉に、私は安心しきって身体から力を抜いた。

大丈夫、明日も頑張れる。

長谷部が一緒なのだから。


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