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この本丸のお風呂は源泉かけ流しの温泉だ。
いつ入っても温かいお湯に浸かることが出来る。

長谷部は私を椅子に座らせると、全身にお湯をかけてざっと流してから頭にもお湯をかけた。

「髪を洗いますので、目を閉じていて下さい」

「うん」

濡れた髪にひやりとしたシャンプーを塗りつけられる。
長谷部が指の腹でかしかしと頭皮を擦ると、みるみる白く泡立っていった。
どこにも洗い残しがないくらい隈無くシャカシャカと洗われて、泡を洗い流される。
後頭部も手の平にお湯を溜めてたぷたぷと洗われた。

「次はお身体を洗いますね」

タオルで髪を拭かれてまとめ髪にしてから、長谷部はボディソープを手に取って泡立てた。
それをスポンジにつけ、私の身体に優しく丁寧に滑らせていく。

「気持ち悪いところはありませんか」

「ないよ。いい気持ち」

丁度良い力加減で身体を擦られるので、とても気持ちが良い。
特に自分では上手く洗えない背中をごしごしされるのは何とも言えない快感があった。

足先、手の先まで丁寧に擦られ、足の指や手の指一本一本までしっかりと洗われる。

「失礼致します」

長谷部に身体を持ち上げられて、彼の膝の上に座らされたと思ったら、足の付け根に大きな手が滑り込んできた。
そのまま恥ずかしい場所を手指で丁寧に洗われてしまい、羞恥で頬が赤く染まる。

「では、流しますね」

お湯で泡を流され、その温かさにほっとする。
長谷部は私を抱き上げると、そのまま湯船に浸かった。

「かなりお疲れのようですね。お身体が固くなってしまっていますよ」

そう言って、腕や脚をやわやわと揉んでくれる。
頭、身体と来て既に気持ち良さもピークに来ていたと思っていたのに、ここにきて更にマッサージ。

「長谷部…だめ、寝ちゃう…」

「構いませんよ。お部屋までお連れしますので、どうぞこのままお休みになって下さい」

「でも…」

「大丈夫です。俺に全てお任せ下さい」

その言葉で、私は全身から力を抜いて長谷部に身を預けた。

温かいお湯とマッサージの心地よさが相まって、もう眠気が限界だ。

「お疲れさまでした。ゆっくりおやすみ下さい。俺の、俺だけの主」

夢うつつに聞いた長谷部の声は、どこまでも甘くて。

私はとろとろに蕩けさせられていくように夢の世界に沈み込んでしまったのだった。


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